こんにちは!歯科衛生士として働くシホです。
ポリフェノールが豊富な飲料として注目されている赤ワイン。
アンチエイジングや美肌、腸内環境の改善など、その健康や美容効果は大きな話題となりました。
でも、副作用があることを忘れてはいけません。
それは歯や歯肉への色素沈着です。
赤ワインを飲んだ後の唇や舌が赤紫色になってしまった経験はないでしょうか?
自宅でプラスチック製のコップで赤ワインを飲んでいると、コップの内側が紫色になったりもします。
これが赤ワインの色素による沈着なのです。
赤ワインを飲みすぎてしまうと、歯や歯肉に色素が沈着してしまうといわれています。
なぜ赤ワインが色素沈着しやすいのか、予防方法について解説していきます。
赤ワインによる色素沈着の原因
ポリフェノール(タンニン)による着色
歯科業界で赤ワインは、着色性食品の仲間として分類されています。
つまり着色を引き起こす食品ということです。
赤ワインは、コーヒーや紅茶と同じようにタンニンというポリフェノールの一種を多く含んでいます。
ワインに含まれているタンニンは渋と呼ばれる成分で、ワイン渋などとも呼ばれます。
ポリフェノールが色素沈着を起こしやすい物質であることは最近よく知られるようになりました。
ポリフェノールは歯の表面の再石灰化にも活用されますが、その際に歯のエナメル質に含まれているカルシウムがタンニン(色素成分)とイオン結合することがわかりました。
そのため歯の表面に色素が沈着するのです。
また、赤ワインのタンニン色素はコーヒーや紅茶などと比べると赤茶色いので、より一層濃い着色となり、黒っぽく見えてしまうようです。
赤い色素アントシアニンの作用
ポリフェノール(タンニン)以外の色素として、赤ワインの赤い色はアントシアニンという色素成分が含まれています。
アントシアニンは、果物が熟して色づく際の色素といわれ、赤や青、紫などの色を発色する水溶性の色素です。
このアントシアニンもポリフェノールの一種であり、さまざまな健康効果を持つ成分として知っている人も多いでしょう。
一般的に食品の着色料としても使用されている成分ですが、タンニンと同様に歯への着色の原因となります。
小さいころ鮮やかな色をしたキャンディやジュースなどを食べると、舌が赤や青に変わった思い出がありませんか。
これは着色料として使用されているアントシアニンの色が皮膚粘膜に着色したものです。
特にワインは、香りを楽しむためにも口の中で転がすように飲む方が多いですので、色素沈着は他の飲み物よりも進行しやすいです。
赤ワインに含まれているアントシアニンは赤や紫系の色ですが、継続して飲むことによって硬組織である歯や、粘膜である歯肉や舌、唇などにも着色が沈着し、黒ずんで見えてしまうのです。
白ワインも歯の黄ばみの原因になる
白ワインは色がついていないから着色しないだろう、という声を耳にします。
確かに白ワインには赤や紫などの色はありませんが、実は着色成分ではなくその性質に問題があります。
白ワインは、赤ワインと違う理由で着色の沈着を促進してしまうのです。
意外に知られていませんが、白ワインは赤ワインに比べると酸性度の高い飲料です。
ワインの酸性度は品種や製法、商品によって異なり具体的な比較はできませんが、ワイン全体で2.9~3.6 pH程度とされています。
基本的にワインは酸性の飲料ではありますが、酸性度の高い方に白ワイン、低い方に赤ワインがあるといわれます。
酸性度が高い飲み物を継続的に飲むと、口腔内ではエナメル質を脱灰して溶かしてしまう作用が働きます。
表面が荒れてしまったエナメル質は、色素成分が滞留しやすくなり色素の沈着を引き起こすと考えられます。
ワインによる歯の着色を予防するためには
健康や美容にはさまざまな効果が期待できるワインですから、着色を気にせず飲みたいものですね。
そのためには着色の正しい予防法などを知って、沈着対策を万全にして楽しみたいものです。
最も効果的な予防方法は、やはり基本に戻って「正しい歯磨き」です。
ワインを飲んだ後には、色素沈着を防ぐためにもなるべく早く歯磨きをするようにしましょう。
その際には、色素成分を浮かして取り除く成分が配合されているホワイトニング用の歯磨き剤やジェルを使用することがおすすめです。
⇒参考:自宅で手軽に歯を白くするホワイトニング歯磨き粉のレビュー