歯のホワイトニング方法にも色々ありますが、歯科医院で行うホワイトニング法はオフィスホワイトニングといいます。
オフィスホワイトニングは一般歯科ではなく審美歯科治療のひとつで保険適用がなく自費診療となります。
確実に1回で効果を実感できるオフィスホワイトニングについて、メリットやデメリットも踏まえて具体的に説明していきます。
オフィスホワイトニングの施術方法とメカニズム
オフィスホワイトニングは、歯の表面に何らかの変化を起こさせて白くする、または白く見えるようにする方法です。
最も一般的な方法としては、過酸化水素や過酸化尿素を含んだホワイトニング剤を使って処理する方法です。
オフィスホワイトニングの施術方法
- 歯のクリーニング
- 歯肉の保護(歯肉にホワイトニング剤が付着しないよう保護します)
- ホワイトニング剤の塗布
- 光を一定時間照射
- 水洗
- エナメルコーティング剤の塗布
なぜオフィスホワイトニングは歯が白くなるのか
歯は外側の白く半透明なエナメル質と内側のクリーム色の象牙質から構成されています。
私達が普段見ている歯は、半透明なエナメル質を通して象牙質の色を見ているので、生まれつきの歯は完全に白いわけではなく、若干クリーム色がかっています。
歯の黄ばみや着色は、この外側のエナメル質に色素が沈着することで起こります。
では、オフィスホワイトニングはどのように歯を白くしていくのでしょうか。
エナメル質の透明化
オフィスホワイトニングで使用されるのは、主に漂白作用を持つ過酸化水素と増粘剤である過酸化尿素という薬品です。
過酸化水素(オキシドール)は髪の毛のブリーチにも使われる漂白剤です。
これらの薬品を含むホワイトニング剤を歯面に塗布して光によって熱を加えると、水と酸素に分解され、その際に発生した酸素は、エナメル質に沈着した色素と結合して元々の白さに戻してくれます。
エナメル質の表面をマスキング化
過酸化水素や過酸化尿素は、エナメル質の表面構造を変性させる働きを持っています。
エナメル質はエナメル小柱と呼ばれる小さな棒の集まりです。
均等に並んでいるたくさんの柱が密着している状態に薬剤を作用させると、柱の角の部分がわずかに溶けて球面になっていきます。
球面に外から光が当たると乱反射を起こすため、外側から内側が見えづらくなります。
これをマスキング効果と呼んでいます。
内側が見えない、すりガラスと原理は同じです。
これによって、エナメル質を通して見えていた象牙質の黄色っぽさが見えづらくなり、元々の歯以上の白さになるわけです。
オフィスホワイトニングの効果や作用
ホワイトニング効果について
基本的には、漂白によるホワイトニングですので、施術前よりも歯が白くなるケースがほとんどでしょう。
多くの場合、1回の施術でシェードガイドの1〜3段階ほど白くなります。
ただ、効果の出方は個人差があり、人によっては1回で期待するほどの白い歯にならないこともあり、通院を繰り返すことで白さを手に入れることができます。
来院する頻度や通院期間
基本的には1回の施術で施術は終わります。
ただし、ヤニなどが付着していて当日前処理のクリーニングでは取り切れないと判断した場合には、事前にクリーニングで来院することが必要です。
また、ホワイトニングは永久的に持続するものではなく、効果は6ヶ月間程度です。
白くなっても再度着色して黄ばんでしまう患者さんも少なくありません。
そこで後戻りを抑制するために歯科医ではタッチアップ(定期的なホワイトニング)をお勧めすることもあります。
持続期間
オフィスホワイトニングの効果持続期間は、一般的には3~6か月、長い人で1年程度といわれています。
しかしこれは生活習慣や食生活、嗜好品、セルフメンテナンスの状態次第で個人差があるため一概には言えません。
メリット
- 短時間で効果が表れる
- 確実な効果がみられる
- 医療機関で行うので安心
- 痛みなどの対処に素早く柔軟に対応できる
- 色素沈着も除去してくれる
オフィスホワイトニングは、しみたり痛みが出る
過酸化水素は一般的にはオキシドールという名で知られています。
髪の毛のブリーチ剤の材料としても記載されています。
髪の毛のブリーチ剤は1〜6%程度の低濃度の過酸化水素が配合されています。
一方でオフィスホワイトニングに使用される過酸化水素の濃度は約30~35%と非常に高濃度です。
この濃度は歯肉などに付着するとカタラーゼ反応という腐食作用が起こってしまうことがあり、危険な薬剤として日本の薬事法では劇薬指定されています。
そのため、ホワイトニング施術前に歯肉の保護を行います。
ちなみにカタラーゼ反応が強く起こる人もいて、ほんのわずかに付着しただけで歯肉が真っ白になり火傷のような強い痛みが数日間続く方もいます。
このような危険な薬剤を使う処置だからこそ歯科医院でしかできない施術となっています。
オフィスホワイトニングの注意として食生活だけでなく術後の痛みに対する注意を必ず行うことにしています。
オフィスホワイトニングでは、術後に冷たい物がしみたり自発痛が出るケースが少なくないため、鎮痛剤を処方する歯科医院もあるほどです。
ホワイトニングで痛みが出る理由
このような痛みが出る理由は、主要な漂白成分である過酸化水素による刺激が原因です。
歯のエナメル質や象牙質には微細なひびや細管と呼ばれるごく細い管があります。
過酸化水素を歯面に塗布すると、薬剤が内部に浸透して神経に刺激が伝わり痛みを感じることがあるのです。
また、ホワイトニングを行った歯に虫歯(齲蝕)がある場合や歯ぎしりなどによってヒビが入っている場合には、ほぼ必ず痛みが出るため、歯科ではまずその治療を行うことから始まります。
痛みにどう対処すべきか
痛みが予測される場合、歯科医院から鎮痛剤を処方されることもあります。
また施術後に痛みが出ることもあるため、痛み止めを欲しい旨伝えれば処方してくれます。
痛みは24時間程度で徐々に治まってくるものですので、しばらくの辛抱です。
また「シュミテクト」などの知覚過敏用の歯磨き粉や、「アパガード」「リナメル」など歯の修復成分であるハイドロキシアパタイト配合の歯磨き粉を使用すると楽になるようです。
最近はホワイトニング治療でも様々なな改良が行われ、新しい製品が出ています。
その中には濃度は同じですが痛みが起こりにくいホワイトニング剤などもあるようですので、歯科医に相談してみましょう。
オフィスホワイトニングの料金相場
オフィスホワイトニングは、審美的診療であり一般診療ではありませんので保険は適用されず自費診療となります。
料金は各々の歯科医院の設定に委ねられることになります。
一般的な料金の相場としては、下記のとおりとなっています。
- 1本あたり:3,000~5.000円程度
- 1顎あたり:20,000~50,000円程度
歯科医院によって設定が異なりますので、予約の際に確認することをお勧めします。
また、コース料金を設定していてタッチアップ料金(ホワイトニング後のメンテナンス)を含めた料金設定をしているところもあるようです。
さらに、歯科医院によっては、ブライダルコースなどのスペシャルコースを用意するなど差別化を図ってニーズに応えています。
オフィスホワイトニングのデメリット
- 費用が高い
- 予約や通院など時間的な拘束
- 痛みが出やすい
- 歯へのダメージ
- 虫歯になりやすくなる
- 知覚過敏になる場合がある
- 歯への着色がしやすくなる
- 効果が半年程度しか保たない
オフィスホワイトニングの大きなデメリットとしては、歯へのダメージです。
もちろん歯医者も商売ですから、あまり大きな声では患者に説明しません。
髪の毛のブリーチをしたことがある方なら、ブリーチ後の髪の毛のダメージを感じたことがあると思います。
非常に硬い組織で出来ている髪の毛ですら、6%以下の過酸化水素の漂白でダメージを受けると言うことです。
30%以上の過酸化水素を使う歯のホワイトニングは、歯に大きなダメージを残すと言えます。
歯のエナメル質へのダメージは、虫歯になりやすくなったり、細かい隙間が広がることで知覚過敏になったり、着色・黄ばみやすい歯になります。
歯科衛生士の私が、歯医者でホワイトニングをしない理由はこのためです。
二度と生え変わらない永久歯ですから、慎重に検討したほうがいいでしょう。
白い歯を手に入れたいと考えている方は、まずは自宅で手軽で安全にホワイトニングが出来るホワイトニング歯磨き粉やジェルを使ってみることをおすすめします。
市販のホワイトニング歯磨き粉やジェルには、過酸化水素などの劇薬は配合されておらず、安全な成分のみで歯のホワイトニングをしていくものがありますので検討してみるといいでしょう。