こんにちは。現役歯科衛生士のシホです。
生まれてきた赤ちゃんがやっと下の前歯が生えてきたと嬉しくなる瞬間だと思いますが、生えてきたばかりの赤ちゃんの歯が黄色い?!と心配になり、歯科医院にかけつけてくるお母さんやお父さんは多くいらっしゃいます。
『歯』というと「白い」のが印象だとは思いますが実は歯には細かい色分けがあり、健康な歯が必ず真っ白とは限りません。
今回は自分の子供の歯が黄色いと感じた時に読んでもらいたい歯の色について原因や対処法を紹介したいと思います!
まず知ってほしい。もともと歯は少し黄色いもの
まずホワイトニング歯磨き粉を選ぶ前に理解してほしいのは、歯は元々生まれつき少し黄色いということです。
歯の構造は上図のように外側からエナメル質・象牙質・神経と層になって出来ています。
エナメル質は白く半透明で、象牙質は黄色っぽい色をしています。
半透明なエナメル質に透けて象牙質が見えているので、元々真っ白ではなく若干クリーム色っぽく見えるのが普通ということです。
そして象牙質の色の濃さとエナメル質の厚さは個人差があるので、生まれつきの歯の色にも個人差があります。
分かりやすく歯医者で使用するシェードガイドで見ると、A2~A3の間が日本人の平均的な歯の色となります。
なぜ生まれつき歯が黄色い赤ちゃんがいるのか
赤ちゃんの歯が、上記の平均よりも明らかに黄色い、茶色い、灰色い場合、考えられる原因は主に2つあります。
エナメル質形成不全
1つ目に考えられるのは、歯ぐきの中で歯が作られている過程の時期に、赤ちゃんの体内で何かの要因で歯のエナメル質の形成が邪魔されていたことです。
歯の外側のエナメル質がちゃんと作られず歯が外に出てきてしまうというものです。
前述の通り、歯の構造は、表面のエナメル質(図の白部分)と内側の象牙質(図の黄色部分)と層になっています。
エナメル質は半透明な乳白色をしていますので、エナメル質を透かして見える象牙質の色が、私たちから見える「歯の色」になっています。
通常はエナメル質で象牙質の色が薄まって見えているのですが、エナメル質が無かったり薄い歯の場合は、象牙質の色がそのまま表面に見えているため色が濃く黄色っぽかったり茶色っぽく見えるのです。
この症状は『エナメル質形成不全』と言われています。
体の中で一番固い部分とされている「エナメル質」で歯が守られていないので、象牙質は守られず虫歯になりやすくなります。
また、象牙質は神経に近い部分なので虫歯になってしまうと歯がしみやすくなったり痛みが出たりしやすくなってきます。
象牙質はあまり強度が無いため、歯ブラシの当てる力が強いと摩耗して削れるため、それもしみる原因になってきますので優しく磨きケアしてあげる必要があります。
永久歯に生え変わるまではケアをして守ってあげなければいけません。
出典:目で見るお口の百科 家庭の歯学/クインテッセンス出版株式会社.
見分け方としては、エナメル質形成不全の場合は色だけでなく、形が変形している場合が多いです。
歯がくぼんでいる、欠けている、でこぼこしている、穴が開いているなどです。
エナメル質形成不全の不安がある場合には、歯科医に一度相談に行くのがいいでしょう。
テトラサイクリン歯
赤ちゃんの歯が白くない2つ目に考えられる原因はテトラサイクリン歯というものです。
母親が妊娠前や妊娠中にテトラサイクリン系の抗生物質(ビブラマイシンやミノマイシンなど)を服用していた場合、母親の胎内にいた赤ちゃんにも吸収されることで、歯が白くならない可能性があると分かっています。
テトラサイクリン歯は、灰色っぽいグレーな色、黄色、オレンジ色などに変色していて、全体に変色している場合もあれば、一部分で変色している場合もあります。
テトラサイクリンに反応して変色した歯は、日光などの光に反応してさらに色が濃くなったりするケースもあれば、白色に治っていくケースもあります。
歯の機能自体には何も問題なく健康で、テトラサイクリン系抗生物質を服用しなければ永久歯に生え変われば白い歯に戻る場合がほとんどのようです。
生まれつき黄色い歯を治す方法
まずお伝えしたいのは、6歳頃には乳歯は抜けて永久歯に生え変わるという当たり前の事実です。
テトラサイクリン歯であれ、エナメル質形成不全であれ、永久歯に生え変わることで普通の白い歯になるためお子さんの歯の色のことで神経質になりすぎることはないです。
歯科医院に行き『エナメル質形成不全』と診断された場合には上記でも述べたように虫歯にならないようにケアをしてあげることが大切です。
6歳ころに生え変わった永久歯も『エナメル質形成不全』になることはあまり考えられません。
もともと『エナメル質形成不全』は確率の低い症状なので永久歯までこの症状になることはごく稀です。
歯をコーティングして白くする『ラミネートベニヤ』
また、もし万が一、永久歯の一部もエナメル質形成不全だった場合も、歯を白くコーティングするラミネートベニヤという方法があります。
歯の表面にセラミックを貼り付け表面をコーティングする方法です。
赤ちゃんに対しては出来ませんが、歯が永久歯に生え変わっても色の変化が見られず黄色いと気になったときに歯科医に相談するようにしましょう。
ラミネートベニヤは保険診療ではなく自費治療になりますので施術を受けるにも歯科医院によって値段は様々です。しっかりと料金を聞き信頼できる先生のもとで施術をしましょう。
また、その際に自分の歯の黄色みはホワイトニングで白くできるのかラミネートベニヤのように上からコーティングする必要があるのかなど聞いてみるのもいいかと思います。
参考:ラミネートべニアによる歯のホワイトニングを解説。相場料金と効果、メリット・デメリット
白いセラミック歯を被せる「セラミッククラウン」
ラミネートベニヤと同様に、白いセラミック製の歯を被せる治療もあります。
こちらももし万が一、永久歯の一部がエナメル質形成不全だった場合に利用できる場合があります。
参考:セラミック治療による歯のホワイトニングを解説。相場料金とメリット・デメリット
テトラサイクリン歯も白く出来るホワイトニング
最近の歯医者のホワイトニングでは、テトラサイクリン歯も白く漂白することが出来るようになってきています。
歯医者のホワイトニングは、過酸化水素を使用した漂白・ブリーチですので、子供の乳歯には使うべきではありません。
ただ、もし万が一、永久歯がテトラサイクリン歯であった場合には、永久歯が生えそろった頃などに歯医者でホワイトニング治療を受けるという選択肢もあります。
参考:歯医者のオフィスホワイトニングの相場料金と効果、メリット・デメリット