ネットで話題になっている重曹を使った歯磨き。
歯の汚れや歯垢がしっかりと取れて、ホワイトニング効果まであるので「家にあるもので歯を白くする方法」と言われていますが、実際のところどうなのでしょうか?
重曹歯磨きのホワイトニング効果とメリット、デメリット、危険性などについて説明いたします。
重曹とは何か
重曹とは化学名としては、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)で水に溶かすと、石鹸と同様の弱いアルカリ性を示します。
重曹には食用、医療用、工業用の3種類がありますが、スーパーマーケットなどで売っている一般的な重曹の多くは食用のものです。
食用の重曹は、ベーキングパウダーやふくらし粉などとして利用されますね。
医療用の重曹は、炭酸水素ナトリウムという名前で薬局などで見つけることが出来ます。
工業用の重曹は、より粒子の粗いもので、研磨剤として使用されます。
水と混ぜると、粒子が細かく水に溶けにくくザラザラした液体になることから、
食器やフライパンなどのクレンザー剤(磨き粉)としても使えます。
この研磨効果から、歯磨き粉としても使えるのではないかと思われたのが、このネットでの噂として広まったのではないかと思われます。
重曹(ベーキングパウダー)歯磨きは歯にとってどんな効果があるのか
この食用の重曹を歯ブラシに塗って歯磨きをすると、歯にとってどのような効果があるのか。
細かい水に溶けない重曹の粒子のザラザラで、歯の表面をこすることで歯垢や歯石を取り除こうというのが重曹歯磨きですので、原理としては、「歯磨き粉」で磨くのと同じです。
ですので、結論としては、
「歯磨き粉で磨いているのと同様の研磨(クリーニング)効果がある」です。
ただ、歯磨き粉というのは、歯のエナメル質を磨いて歯垢やステインを取ることを専門に開発されたもので、研磨効果以外にも歯周病予防や歯の再石灰化促進、口臭予防など様々な付加効果があります。
さらに、エナメル質への悪影響を考慮して、最近の歯磨き粉やホワイトニング歯磨き粉には、研磨剤成分を含めないのが一般的です。
一方で、重曹は、食器や調理器具のクレンジング剤としても使用されるように、研磨効果のみがあるものです。
健康的な歯のためには、重曹歯磨きではなく、歯磨き粉を使用すべき理由はこのためです。
重曹(ベーキングパウダー)歯磨きのホワイトニング効果について
前述の通り、重曹歯磨きは研磨効果があるため、歯のエナメル質の表面についた汚れや着色、ヤニなどであれば、取り除く効果があります。
しかし、歯の黄ばみや茶渋はほとんどの場合、エナメル質の内部まで色素沈着が起こっています。重曹歯磨きはこれらの着色を取り除くホワイトニング効果はありません。
つまり、「歯の黄ばみや着色の予防としては使えるけど、着色している歯のホワイトニング効果は無い」ということになります。
重曹歯磨きのやり方
スーパーマーケットなどで売っている食用の重曹(ベーキングパウダー)に水を加えてかき混ぜ、歯ブラシに塗って歯を磨くだけです。
または、植物性グリセリンを混ぜることで、より粘度が高くなり、市販の歯磨き粉に近い感じになります。
あとは、いつも通り歯磨きをするだけです。
重曹歯磨きのデメリットや危険性
強いすぎる研磨効果でエナメル質を傷つける
重曹は調理器具や工業製品の研磨剤として使用されるように、歯に使用するには少々強すぎる研磨効果があります。
歯の表面のツルツルしたエナメル質を削ってしまい、逆に汚れが付きやすくなったり、虫歯が出来やすくなってしまう可能性があるので、磨きすぎに注意しましょう。
重曹歯磨きでは、電動歯ブラシを絶対に使わないこと
重曹には強い研磨効果があるので、電動歯ブラシと一緒に使うと、エナメル質をかなり傷つけてしまいます。
重曹歯磨きをするのであれば、電動歯ブラシは絶対に使用せず、普通の歯ブラシを使うようにしましょう。
塩分の過剰摂取
重曹は、塩化ナトリウムですので、塩の一種ですので舐めるとしょっぱいです。
歯磨き中に間違って飲み込んでしまったり、気づかぬうちに少しずつ胃に入ってしまうと、塩分の過剰摂取となってしまう可能性があります。
塩分を控える必要がある人などは特に注意しましょう。
歯石が付きやすくなる
重曹、塩化ナトリウムは水に溶かすとアルカリ性を示します。よって重曹歯磨きをすると、口の中がアルカリ性に傾きます。
腔内がアルカリ性になると歯石が付きやすくなると言われています。
重曹うがいの効果について
重曹歯磨きと同様に、重曹うがいも歯に良いとネットで噂になっています。重曹うがいの効果は実際のところどうなのでしょうか?
重曹うがいが虫歯予防になる
重曹は塩化ナトリウムは水に溶かすとアルカリ性を示しますので、重曹うがいをすると口の中がアルカリ性に傾きます。
磨き残しの食べ物や歯垢にある糖分をエサにして繁殖する虫歯菌が酸を出してエナメル質を溶かすのが虫歯です。
ですので、口の中をアルカリ性にして酸性を中和することが出来れば理論上は虫歯予防になります。
ただ、重曹でうがいをしてもすぐに唾液などで流されてしまうので、実際の所はそこまで虫歯予防効果が高いとは言えないのが残念なところです。